私は化物です

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「え?」  思わず漏れ出た声に、立ち止まる男性。心臓の鼓動がうるさい。彼はゆっくりと、こちらを振り返る。  どうしようどうしようどうしよう 「どうかしましたか?」 「あ…… 知り合いかと思って。人違いでした」 「……そうですか」 「すみませんでした」  私は公園を出て、男性とは反対側の道へ急いだ。少し歩き、振り返ろうとして、背筋が凍る。お店のウィンドウ越しに映った男性は、まだ私のことを見つめていた。振り返るのをやめ、私は通りの角まで急いだ。  角を曲がり、呼吸を整える。どこにでもいる普通の二、三十代男性だった。しかし、彼の頭上には確かに「爆弾を仕掛けた」という文字があった。  私の能力は真実を映し出すわけではない。本人が解禁しようとしている文言をそのまま読み取るだけなのだ。奴が世間を騒がせたいだけの迷惑男なら、あれは全部嘘かもしれない。しかし、もし本当だとしたら? 私はポーチから手鏡を取り出し、前髪を直すフリをして通りを確認した。男はゆっくりと反対方向に歩き出していた。  警察に通報?   誰がこんな話を信じるというのだろう。こんな女子高生の言葉に、なんの力もない。もっと、ちゃんとした大人の言葉でないと……  私はスマホを取り出し、グループトークを開いた。 【桜野高校 三姉妹】
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