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 気が付くと、僕は檻の中で倒れていた。鉄格子の外は暗い。壁の所々に、小さな黄緑色の照明が見える。  ここは何処だ?   どうして僕は檻の中にいる?  僕は、グレーテルと岩石採集をして──  小惑星の中に引き込まれた! 「グレーテ?」  彼女がいない。  完全に目が覚めて、僕は跳ね起きた。檻の床に手をつき、上体を起こす。 「……まさか」  自分の無意識の動きに、僕は瞠目した──重力がある! それも一G近く。ここが小惑星の中なら、あり得ない環境だ。  だけど今の僕に、現状を考察する余裕はない。  ヘルメットが檻にぶつかるのも気にせず、僕は鉄格子を掴み、目を皿にしてグレーテルを探す。けれど、壁の光だけではほぼ何も見えない。  そうだ、ライト!  もたつく手で、EVAスーツのライトをつける。僅かな範囲だけど、見えるようになった。 「グレーテル!」  いた!  光がギリギリ届く壁際、同じような檻の中で、グレーテルが倒れている。安否は分からない。動かない彼女に最悪の予想が頭をよぎり、背筋が凍る。 「グレーテル、グレーテル!」 「……聞こえてる。だからその呼び方やめてよ」  何度か呼びかけたところで、グレーテルがゆっくりと起きた。  鉄格子を握り締めていた手から力が抜ける。僕は、大きく安堵のため息をついた。 「ああ、良かったグレーテル。怪我や痛みはない? スーツに損傷は?」  ヘルメットのライトをつけ、グレーテルがこちらに首を巡らせた。スピーカーと肉声の両方で、彼女の嘆息が聞こえる。 「だから……あー、もう良い。あたしは平気。ここは、小惑星の中? 何これ、重力に空気──酸素だ」 「グレーテル!?」
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