第一話 火降る世界

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 人は自らの手に負えない『モノ』を作り出すべきでは無かったと誰かが言う。人はいつだって効率化が大好きだ、物を作るのも、運ぶのも、勉強も、仕事も、人を……殺すのも。  今時、いちいち誰かを殺すのにナイフだなんだを使うのはナンセンスだ。  じゃあ拳銃か? まだ足りない。考えて考えて『効率よく人を殺すのに有効な手段』を『ヒト』が考え導き出された答えはたったいま青い空を駆け抜けていった。  『天の火』たった一発で何千、何万と命を消し飛ばす天の火を人は創り出してしまったのだ。天の火、神の豪槌、裁きの光……呼び名は数多くあれど本質は変わらない、効率化を推し進めた結果人は人で無くなり心を失くしたのかもしれない。  火は大国同士の抑止力の為、途方もない量が造られた。だがあくまでそれだけの物のはずだったが、神のいたずらか悪魔のささやきか、はたまた人間の好奇心がそうさせたのか。それは今となっては誰も分からない。  ただ一つ言えるのは、どこからともなく青い空を煙を吐き出しながら何かが横切って行き、その夜にはこの星の人口が国一つ分くらい減ってしまったという事だけだ。  そこからはあっという間だ。次から次へとあっちこっちで爆発……爆発……爆発。もう誰も止められない、神様も大忙しだろう。
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