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終わった仕事を彼女のデスクへと置き帰り支度を始める。
いつもの通り、帰りにコンビニにより弁当を買って部屋でテレビを見ながらそれを食べる。
そして棚の上に睦月から貰ったゼリーを飾ろう。
今の一番の楽しみは睦月からの貰いものを眺めることだ。
忘れ物はないかとデスクをチェックし、フロアを出たところで再び睦月と出逢った。秘書の川島も一緒だ。
ついているなと心の中でガッツポーズをする。
「お疲れ様です」
今度はそこそこ大きな声で挨拶が言えた。よかったと胸を撫でおろす。
「森村君こそ、疲れ様です」
と柔らかな笑みを浮かべた。誰に対しても自然とそうできる睦月を尊敬している。
誰かに挨拶をするとき、森村は顔がこわばり声が小さくなってしまうからだ。
「それでは失礼します」
「あ、待ってください。もしよろしければ一緒に食事に行きませんか?」
「え?」
まさか食事誘われるなんて。驚いて目を見開いたままかたまってしまう。
「森村君?」
気が付けば睦月の顔が近く、さらに驚いて後ろに飛びのいた。
「驚かせてしまいましたね」
「あ、いえ、その……」
今の状況が信じられずに睦月と彼の隣に立つ秘書の土田を交互に見る。
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