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「俺と、ですか」
「はい。ご一緒出来たら嬉しいなと」
まさか食事誘われるなんて。どうすればいいのかと混乱し、
「あの、頂いたゼリーを食べるので」
どうにでもなるような理由をつけて断り、この場から立ち去ろうとするが、睦月に腕をつかまれてしまう。
「しゃ、社長!」
しかも意外と腕の力が強く、引っ張っても振り払えない。
「ゼリーは明日でも大丈夫です。土田君、タクシーをお願いします」
「承知いたしました」
「期限内に食べないとっ」
「断る理由になりませんよ」
タクシーがつかまり、中へと押し込まれる。
向かう先は格式の高そうな店でしり込みしてしまう。
「どうしました?」
睦月は慣れているのだろう、普通に中へ入ろうとしている。
「俺、こんな高そうな店に来るの初めてで」
「あぁ、そんなにかたくならないで。さ、行きましょう」
睦月の手が腰に触れぽんと叩いた。
「へぁっ」
緊張を解くようにとしたことだろうが、思わず変な声が出てしまった。
「いらっしゃいませ、睦月様。お待ちしておりました」
着物を着た綺麗な人がふたりを出迎え、名と顔を覚えるくらいは利用しているのだろう。
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