闇夜を照らす優しい月光

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 下心があってその仕事をありたかがっている。だから彼女のことは言えなくて黙っていたのだが、 「君の隣の席、立花さんでしたか。貴方のしている仕事は彼女のものですよね」  睦月にはばれていたようだ。 「……そうです」  隠し通しても無駄だろうからと、それは素直に認めた。 「仕事は押し付けられたのですか。それとも貴方が進んで?」 「家に帰っても特にやることもないので」 「彼女の下心があるとか、そういうことではないですよね」  睦月との時間が楽しくて、それだけのために彼女の仕事をしているだけだ。 「立花さんのようなタイプは苦手です」 「そうですか。話しは以上です」  食事に誘った理由はこれを聞くためだったとわかり納得がいった。  やはり自分など理由がない限り誘うはずはないのだ。それを悲しいと思ってはいけない。 「嫌なことを聞いてしまいましたか?」 「え、何故ですか」 「辛そうに見えたので」  顔に出さないようにと意識したつもりだった。 「いえ、大丈夫です」  繊細な味が無味になる。どれもこれも森村には勿体ないモノだった。
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