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会話は睦月から。うまくつなげることもできずに途切れ途切れ。
それでも嫌な顔を見せずに睦月は話をしてくれた。
さぞかしつまらなかっただろう。
最後の料理が運ばれてきてお開きになったが、そのまま外へと向かっていく。
「あの、食事代」
「私が誘ったのです。支払わせてください」
「そういう訳には」
「わかりました。では食事代の替わりに」
と肩に手が触れて身を寄せる。睦月からはいつも良いにおいがして、好きだなと目を閉じたところに唇に柔らかなものが触れた。
驚いて睦月を見れば、
「お礼ということで。唇を頂きました」
ごちそうさまと手を合わせてた。
いつの間にかタクシーに載せられて家の前まで送ってもらった。
ふらふらとした足取りで部屋へと入りベッドに倒れこんだ。
「キス」
唇にそっと触れる。まだ感触が残っているかのようだ。
「なんで?」
あんなに素敵な人なのだ。女性に困っているなんてことはないだろう。
それにキスする相手も森村でなくてもいいはずだ。何も魅力がない男なのだから。
人付き合いが苦手な森村には睦月の気持ちを理解出来そうになかった。
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