闇夜を照らす優しい月光

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 今までのようなことをしていたら間違いなく課長に泣かされることだろう。 「私には無理です。ここにいさせてください」 「でもねぇ、決まったことだし」  とハンカチで汗を拭う。きっと何か言われたのだろう。立花の味方をしなかった。 「そうだ、森村さん、貴方が行くって言ってください。どう考えても秘書課に向いてませんよ」  確かに秘書課など森村には向いていない。なんせあそこの部署には顔面偏差値の高い者しかいないのだから。  その点だけでいえば立花は負けていないだろう。 「駄目だよ、立花ちゃん。変更は受け入れない」  ドアが開き、秘書課の土田が部屋の中へと入ってくる。見た目もだが口調もチャラく聞こえてしまう。だが睦月と一緒の時は普通の秘書に見えた。 「土田さん! でも、こんなコミュニケーションのとれない人より私の方が」  自分を守るのに必死な立花に、先ほどから酷い言われようなのだが本当のことなので反論はできない。 「立花ちゃん知ってる? 君たちの部署の仕事、ほぼ彼がやっているんだよね」 「へ?」 「君が一番だけど、他の人たちも彼に仕事を押し付けているんだよ。いやぁ、課長さんがそれを知らないとかいうからびっくりしちゃったよ。ねぇ」 「え、いや、その」  驚く立花に狼狽える課長。誰も本当のことを知らないと思っていたが、土田の言葉にじわりと胸が熱くなった。
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