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「何度か君のもとへと行くようになり、少しずつ心を開いてくれて。それが嬉しくて、貴方に会うのが待ち遠しくなるようになりました」
森村だってそうだ。睦月が来るのを楽しみにしていた。だから立花の仕事も引き受けていたのだから。
「差し入れを手渡すと口元が綻んで、それが可愛くてたまりませんでした」
本当に嬉しかったからだ。
「私は昔から女性よりも男性に惹かれる子でしてね、好きになるまであっという間でしたよ」
自分は恋愛そのものにあまり興味がなく過ごしてきたが、胸が弾むような感覚を味わったのは睦月がはじめてだった。
「俺なんかで、いいんですか?」
「俺なんかじゃありませんよ。君がいいんです」
自分を求めてくれる、それがこんなにも嬉しいことだったとは。じわじわと熱が伝わってくる。
「好きになってくれてありがとうございます」
森村と睦月の思いは同じでないかもしれない。けれどこの先を知りたい。
「私とお付き合いしてくださいますか?」
「はい。よろしくお願いします」
差し出された手を両手でつかんで頭を下げ、そして睦月を見ると目を細め口元には笑みを浮かべていた。
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