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検索画面結果には、
『東山街の沼田村で起こった悲惨な事件……礼和10年◯月△日……トラック運転手の……飲酒運転による交通事故で、横断歩道を渡っていた……当時、8歳の杉原春人君と父親の杉原……が……により、死亡………』
(嘘だったんだ……)
旦那さんが単身赴任だと話したのも、子供が入院中だと話したのも全部全部偽りだったのたま。
──ブーッブーッ
その時パソコン横に置いていたスマホが震えて、ラインのメッセージが浮かぶ。
私はすぐに覗き込んで絶句した。
「な……なんでっ……」
スマホには美穂子からのメッセージが届いていた。
──『里奈さん、うちの主人と春人の事調べてるの?』
私の背筋はピンと張り、座っていても足がカタカタと震えてきて力が入らない。
『何のことでしょうか』
私は短く、指先で返答する。
──ピロロロン、ピロロロン
「……っ!」
返答したと同時に、今度は鳴り響いたスマホの着信音に私の体がビクンと大きく震えた。
液晶に浮かんでいる名前は『杉原美穂子』。
私は震える指先で通話ボタンをスワイプした。
「もしもし……」
──『もしもし。こんにちは、美穂子ですけど』
「な、何でしょうか?」
──『聞きたいことがあれば、直接聞いてくれればいいのに。お向かいさんなんだから。何から話せばいい?家族のことかしら?』
その言葉に、私は震えながら小さく唇を開いた。
「……お子さん…と旦那さん……」
『ふふっ。そうよ、今は居ないの。でも……いつも私と一緒にいるのよ』
「……そう、なんですか……」
私はそう答えながら全身の毛が逆立ってくる。
どうかしてる
狂ってる。
歪んでる。
美穂子の家族は……今は居ないのではなく……もうこの世に居ないのに。
──『里奈さんと私って、何となく似てるわ』
「何言ってるの?……全然似てないわ」
──『何となく似てるわよ、私もこっそり調べ物するもの。あなた達、家族について……今のあなたみたいに、こっそりとね』
「な、何それ……」
──『ふふふ……あともう一つ、調べものする時は、背後には気をつけなきゃねってこと』
ゾッとして振り返れば、キッチンの小窓から、美穂子がコチラを眺めながら、口元に人差し指を当て白い歯を見せた。
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