6人が本棚に入れています
本棚に追加
私の密やかで醜悪な願い
私と彼は、他のみんなとは違う。
皺だらけの肌。張りのない身体。どうにも頼りなく、すぐ潰れてしまいそうな私たち。
みんなの肌は、つやつや輝き光を反射している。引き締まった弾力のある身体はプルプルして、水でも何でも弾きそう。
私と彼以外、誰もがキラキラしている。不完全な私たちは隣同士、ずっとつながっていた。
まれに、私たちのような不完全な者が生まれてしまうらしい。
みんな私たちを可哀相な目で見る。生まれつきだから仕方ないって。
つやつやプルプル、私たちには関係ない。だから、私はつやつやなみんなを、羨ましくは思うけど、妬んだりはしない。隣の彼も同じ気持ちだろう。
たまに、つやつやになったら、どんな気持ちなんだろうって思うけど。
プルプルになったら、世界は眩しく見えるのかなって考えるけど。
私の仲間たちは同時にいっせいに何百万と生まれ、そして幾千ものコロニーに分かれた。
私のいるコロニーはそれほど大きくなく、千人ほどの仲間がひしめき合っている。
そしてみんなが噂する。世界の終わりのことを。
コロニーの中には、恐ろしい終末を迎えるものがあるそうだ。
突然、天から、巨大な岩の塊が現れ、何度もコロニーを襲撃する。そうなると、多くの場合、コロニーは終焉を迎える。残るは、岩塊に圧迫された私たちの残骸。
まれに、メンバーの一部が残る場合もあるが、それでも、コロニーの役目は果たせない。
私たちの役目……それは、この身の愛で、世界を包むこと。
だけど、私と彼は不完全だから、皺だらけの肌に張りのない身体だから、役目を果たすことはできない。
でも仲間は優しいから、私たちが不完全だからといって、責めたてたりはしない。
しかし……私は願ってしまう。決して思ってはいけないことを望んでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!