ナギと青兎

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 此処は小さな島国のとある村だった。 「ばあ様、いつものように何かお話を聞かせてよ」 幼子らが声を揃えてせがんできた。 ここのところずっと雨続きで退屈していたのだろう。 「そうさね……じゃあ、神代の頃のお話でもしようかね」 「神代の頃?」 「人の世に、神様が不意に御生まれになることがあった時代だよ」 「嘘だぁ、そんなの」 「そうかね?でもそういう時代があっても不思議じゃあないだろう?なんせ、昔々のお話だもの」 子供らは顔を見合わせ、頷いた。 その話で良いと納得した顔だった。 「それじゃあ、始めるよ。昔々、あるところに――」 いつもの調子でばあ様は語り始めた。
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