カラーリング

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 私には不満があって。  毎年のことなんだけど、髪を染めなきゃならないのに順番がいつも遅いの。  信じられる?  いつもよ?  私が予約を入れようとすると、もの凄い量の予約が先に入っていて結局後の方にされちゃう。  そもそも、御用聞きが来るシステムがいけないのよ。  今のご時世なんだからもっとやりようがあるでしょうに!  いつも遅いから今年は早いですけどって、まだ夏の暑い盛りに声がかかるのならいいのよ。  怒ったりしないわ。  寧ろ早すぎるけれど、まぁ、遅いよりはいいんじゃないの?って思うくらいには今、あんまり嬉しくないわって気分なの。  もう秋もだいぶ深まってきたし、私としては淡い赤系か渋い黄色系にしたいなーなんて色々と胸を弾ませているのに一向に順番が来ないの。 「鳴子さん!遅くなりましたー!」  やっと来たわね!  内心は喜んだけど、そんな顔をするのも癪だからツンッてしてやった。  けど、礼儀だけは忘れずにね。 「お疲れ様。今年もよろしくね」 「はい!では……皆、やるぞ!」  日光は少なくなってきたし、秋風が来てくれたから、やっと私も秋用の装いに姿をかえる。  今までの青青とした色も好きだけれど、色とりどりに染まった秋だけの色だってお気に入り。  だって……。 「あぁ、綺麗な紅葉だこと」  人間たちがこぞって褒め称えるから。  そうしたら悪い気なんてしやしないでしょ? 𝑒𝑛𝑑  
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