34人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいない
来ない人を待つ辛さは自分が一番知っている・・・・・だから・・・・・そんな思いはもう二度としたくない、そう思って生きてきた。
まだ何もわからない小さな子供だったけど、あの日の事は何故か鮮明に覚えていた。
自分の頭に手を置いて「ここで待ってなさい」・・・・そう言われた、じっとその場所で待っていた。
大勢の人が行き交う夜の繁華街、寒さに震えながら、ずっと待った。
もう少ししたら・・・・・もう少し待てば・・・・・きっと来る。
そして温かく抱きしめて「遅くなってごめんね」そう言ってくれる。
そう信じてた・・・・・
どれくらい経ったかわからない、だれか知らない人が来て手を繋いでくれた。
その日からずっとチャペルのある場所でみんなと一緒に暮らした、それでも待った。
「ここで待ってなさい」と言われた言葉を信じてたのに、あの場所から離れた自分のせいだと思ってた。
そうではなかったのだと気が付いてからは、もう待つのも信じることもしなくなった。
待っていても来ない・・・・・信じていてもダメなんだと分かったから・・・・・・。
だから誰にも拘わらないようにしてきた、怒ることも笑うことも泣くこともなかった。
このままでいいと思っていた、このままずっと誰とも関わらずに生きていくつもりだった・・・・・・
最初のコメントを投稿しよう!