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「ほら、おぶされ」
長期に渡る衰弱状態のためほとんど歩く事ができなくなっていた俺を、父ちゃんが背負ったまま助手席から降りる。
本当に広くて暖かい、大好きな父ちゃんの背中。
どこよりも安心できた。
そのドライブインに入ると、父ちゃんに何人もの人が声を掛けて来た。
父ちゃん…友達いっぱいいるんだね。
「省吾、何食う?」
父ちゃんに聞かれてすごく困った。何も食べたい物などなかったから。
ずっと点滴の注射と、変な流動食の液体だけを無理やり飲まされていただけだから。
「食いたくなくても食わないと、俺ら一緒にいられなくなるぞ。いいのか?」
やだ!!
絶対に嫌だ!!
やっと父ちゃんとずっと一緒にいられると思ったのに。
俺は思い切り首を振った。
「じゃあ一口でもいいから食べような、うどんでいいいか?」
うん、父ちゃん。
俺、何でも食べるから…!!
がんばって何でも食べるから一緒に居させてよ、絶対どこにもやらないでよ…!!
「いい子だ」
父ちゃんが俺の頭をいっぱい撫でてくれた。
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