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するとそこに、父ちゃんの友達のような人たちが集まってきた。
見知らぬたくさんの大きな男の人達に、俺はちょっと怖くなる。
「よろしくな省吾!俺、西風っての」
その中にとてもニコニコして俺に笑いかけてくれたお兄ちゃんがいたけど。
やっぱり俺は見慣れないその人が怖くて、歩けないのに父ちゃんの後ろに隠れようとして…見事にイスから落っこちた。
「省吾!」
慌てたような声で俺を助け起こしてくれる父ちゃん。
みんなに俺が言葉を話せない事を伝えてくれる。その様子から歩けない事もわかってしまったようだ。
「こら省吾、父ちゃんの大事な友達だよ。ちゃんと挨拶出来ないのか?」
父ちゃんの大事な友達…それなら怖くない?
父ちゃんみたいに優しいお兄ちゃん達なのかな。
俺は西風と名乗ってくれたその人を見て「こんにちは」と言ってみた。もちろん声は出ないのだけれど。
「こんにちは省吾!よろしくな」
でもその人は、とても優しい笑顔で俺の頭を撫でてくれた。
「お前の顔が怖くて省吾が怯えたろうがよ!」
「人の事言える顔かよお前が。省吾、俺は怖くないからな大丈夫だからな」
優しいのはその人だけじゃなくて。
顔はみんな強面なのに、優しいゴツゴツした大きな手が俺の頭を撫でていく。
強くて優しいトラック野郎たち。
それが俺の父ちゃんの仲間だった。
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