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一番古い記憶は、笑いながら俺の頭を撫でるすごく大きい手のひら。
俺と姉を二人いっぺんに自分の膝に乗せ、抱きしめてくれた温かい大きな腕。
太くて低くて、でも優しい声で俺の名前を呼ぶその人。
「省吾」
俺はその人が大好きで大好きで…
いつも姉とその膝を取り合いしていた記憶がある。
当時、自分に父親らしい人の存在を知らなかった俺は、何となくこの人が自分の父親なのではないかとずっと思っていた。
――本当にそうならいいなと、ずっと思っていた。
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