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「真さん、お疲れ様」
「ああ、マジで良かった」
まだがやがやしているおじさんたちを尻目に、父ちゃんが俺の席に戻ってきた。
「西風すまん、省吾にメシ食わせててくれたんだな」
「いや、一緒に食ってただけ。真さんは何にする?」
「あ…同じでいいや」
西風兄ちゃんが注文してくれた。
「省吾、影虎のおじさんが見つかったってよ。よかったよ」
俺は笑って頷いた。本当に良かった。
「夜まで掛かりそうだったら人手を増やそうって話だったんだ。俺も行こうと思ってたよ」
「後は影虎の怪我の程度だな、車は誰かに頼んで引き上げるしかないけど、命があっただけ良かったよ」
「過積載ダンプだからお客さん(※積荷)に押されてぺちゃんこって話も多いから。でも個人ダンプは過積載じゃなきゃマトモに食っていけないしな」
「辛いとこだよ、個人業者はサクラの代紋と一生追いかけっこだ」
父ちゃんもこの少し前までは、自分でトラックを持って仕事をする自営の個人業者だった。
俺を引き取るためにちゃんとした運送会社に勤めたけど、その時味わった苦労はずっと忘れていないと言っていた。
だからトラック野郎は助け合う。
こんな時はいつだって自分のガソリンを減らして走り回るのが、本当に普通だった。
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