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「乃条さん、これを」
突然親父が自分の胸元から何かを取り出し、テーブルの上に置いた。
細長い白木の筒…これ、ひょっとして…!!
「親父…っ!」
「匕首です。若い頃、俺にケンカを売ってきたバカから取り上げました」
「私とやり合うとでも?」
静流の父親が親父の前に戻る。
匕首…確かドスとかいう昔のヤクザが使った小型の刃物…!!
親父、なんでそんな物を…!!
「日本刀の収集がご趣味だと聞きました。でもそれを使わせたら、後々乃条さんの立場が悪くなりますから。俺が持参した物ならば正当防衛で済みます」
「何?」
その親父の様子を見ていると冷や汗が出てきた…すごい動機もする。抱きしめたままの静流も不安そうだ。
「自分の命を差し上げます、息子たちの子供の代わりに」
そこにいた全員が凍りついた。
親父何を…!
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