2.護られた命

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「ほら、親父いくぞ」    俺は先に立って歩き出した。  ナースステーションの隣にある新生児室の面会室に入り、大きなガラス窓越しに我が子を見る。  一番手前、左側のベビーベッド。ものすごく可愛い赤ん坊が眠っていた。    木沙ベビー・2820g・女児    目鼻立ちのはっきりとした俺の娘だ。俺は静流によく似た可愛い娘でほっとしていた。    少し早産でちょっと小さいが、殆ど問題が無いくらい元気だ。   「これがお前らの子供か…?」 「うん、親父の初孫だ」    ガラスにくっつかるように赤ん坊に見入る親父。その眼に涙が光っていた。   「名前、決まってるんだよ。親父の名前、真治から一文字もらって【真琴】っていうんだ。可愛いだろ?」    親父がびっくりしたように俺を見た。   「バカ、そんな名前付けたら静流の親父さんに申し訳ないだろうが!!俺の名前からなんて…!!」 「静流が決めたから。俺には何も言えないよ」 「決めたからって…!」    親父はまた振り返って赤ん坊を見詰めてる。    本当は嬉しいくせに親父。   自分の名前をもらった初孫が、可愛くて仕方ないくせに。   「木沙…真琴…」    親父は噛み締めるように、俺の娘の名をつぶやいた。  
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