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「孫もいる立派なじいちゃんだよ。じゃあ行ってくる。今日は大阪と神戸の混載だ、帰り荷あるから帰りはあさってな」
親父は真琴の頬をちょんとつついて立ち上がった。
そのまま玄関先へと向かう。
――その時唐突に、何か嫌な予感めいたものが俺の胸の内に走る。
「親父、ちょっ…!」
立ち上がろとして自分の指を真琴が握ったままなのに気がついた。
ダメだ、行けない。
玄関のドアを開ける音、続いてガレージのシャッターが開く音がした。
自分の中の胸騒ぎが段々とひどくなる。
「マコ、ごめん!」
俺は真琴を置いて裸足のまま玄関から飛び出した。
一歩遅く、発進した親父のパジェロのテールランプが角を左折するのがかろうじて見えた。
「親父…」
家の中から置き去りにされた真琴の泣く声が聞こえる。
「パパ?どうしたの?」
2階で洗濯物を片付けていた静流が慌てて降りて来た。
玄関先で裸足のままでいる俺を見て驚いている。
「パパ!?」
「ああ、何でもない」
俺にも説明がつかない。どう説明していいのか分からない。
大丈夫。
きっと何でもないから。
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