一ノ環・婚礼を控えて

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「あの時、お尻が赤くなってヒリヒリしたんです」 「ま、待て、あの時はお前も」 「私は優しくしてほしいと言ったのに」  じとりっと背後のハウストを見つめます。  私の恨みがましげな目に、「……お前の言いたいことは分かった」とハウストが小さく咳払いしました。 「たしかにあの時はやりすぎたかもしれない」 「はい。びっくりしました……」  話しているうちにいろいろ思い出してしまいます。あの時は想いが何ひとつ通じない切なさに胸が潰れてしまいそうでした。  あの時の気持ちが甦りそうになって、無意識に視線が落ちていく。  縋るようにシーツをぎゅっと握り締めると、その手に大きな手が覆い被さりました。 「悪かった」  低く囁かれました。  ちらりと見上げると目尻に口付けられる。  その口付けは優しくてくすぐったい気持ちになります。私はもっと甘えたくなってしまう。  三界中を探してもハウストにこんな口付けをされるのは、きっと私だけです。 「……こわかったんです」 「ああ、そうだな。怖い思いをさせた」 「恥ずかしかったです」 「ああ、恥ずかしかったな」 「あなたは力が強いので、乱暴なのは困ります」 「分かった。今後は気を付けよう」  慰めるように囁かれ、背後から抱き締められます。  お腹に回されたハウストの腕に手を置きました。 「……私もすみませんでした。あなたが怒るのは当然でした。自分でも無茶をしたと反省しています」 「今更だろう。お前が面倒な性格をしていることは嫌というほど知っている」  ハウストが喉奥で笑いながら言いました。  人がせっかく素直に謝っているのにとムッとすると、「そんな顔するな」と抱き締める腕が強くなります。 「ブレイラ」  背後から低音で名前を呼ばれ、振り返ると唇に口付けられました。  抱き締められながら何度も啄むような口付けを繰り返されます。  ハウストの雄々しくも端麗な顔に手を伸ばし、指先で輪郭をなぞりました。 「私が面倒だということを知っているなら、私があなただけだということも知っていてくださいね」 「ああ、もちろんだ。その心も、体も」  そう言ってハウストが私の背中に口付けを落とす。  甘いようなくすぐったいような感触に背を丸めると、お腹の下に腕を回されて腰が浮かされました。 「ハウストっ……」 「心配するな。約束どおり優しくしよう」  ハウストが背中に口付けながら私のお尻へと手を伸ばす。  腰を高くあげた格好のままお尻をハウストの大きな手が揉んで、指が後孔の入口に触れる。  先ほどまでハウストを受け入れていたそこは直ぐに反応を返してしまって恥ずかしいです。 「……も、もう大丈夫ですから」  あんまり弄ってほしくなくて、早く挿れてしまってほしいとお願いしました。  そんな私のお願いにハウストは口元に笑みを刻む。 「遠慮するな。俺はお前に優しくしたい」  そう言ったかと思うとハウストは身を起こし、私の後ろに座りました。  そこは私の後ろが全て丸見えになってしまう場所です。  しかも背後から腰に片腕を回されて、お尻がぐいっと引き寄せられてしまう。
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