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鈍間が教室を出て歩いていると他のクラスであろうか、女子二人が廊下で話していた。
「今週の世界で活躍する世界探偵トップ10見た?」
窓の方によたれかかっている女子がそう言っていた。
「ええ、まだ見てなーい。どんな感じだった?」
「ふ、ふ、ふ、また蒼眼の探偵が1位だったよー。カッコいいよねー。」
「またぁ?ええとデビューから24回連続1位だっけ?すごいよねー。仮面をつけてミステリアスで実力もすごいなんて、いいよねA組。そんな蒼眼様がいるなんて羨ましいなぁ」
「ほんとそうよねー。だから頑張ってA組に行かなきゃ。蒼眼様に会うためにね!」
そんな会話を尻目に鈍間は後者を出た。そのまま寮に戻っていく。 なんてことはなく、学園の敷地内を歩いていた。その足取りはいつもと変わらない様子のようだ。
数十分歩いただろうか、頭の前に始まりのチャイムはなっている。学園の端まで歩いた鈍間は一軒の喫茶店に入って行った。カランコロン、と店のドアを開けると鈍間はカウンターに座った。喫茶店は広くテーブル席も何隻かあるようだった。
「いらっしゃいませお客様。ご注文は何にしましょうか?」
髭を生やしたダンディな店のオーナーが尋ねる。
「そーだーね、コーフィーとアーイースーティ。そーれーとみーそーラーメーンを。」
「畏まりました、”蒼眼の人形師”様どうぞこちらに来て下さい。」
そう言ったオーナーは店の奥にある扉を開け中に入るように示した。鈍間は静かに席を立ちドアの中にオーナーと一緒に入って行った。中に入ったところで鈍間が口を開いた。
「オーナーいーや、ボースそーんーなー口–調―もーうーやーめーたーらーどーうーでーすーか?」
「そうだな人形師よ。お前たちのボスとしてはこっちの口調の方がいいか。あっちも結構気にってんだけどなぁ」
自慢の髭をさすりながら苦笑するのはこの店のオーナー、幸沢 広重。年は50代後半だが見た目は40代前半にしか見えない。それだけでなくこの男は世界的に活躍する探偵なのだ。そんな彼は探偵結社を持っていた。
「て言うかお前が言えることじゃねえだろよ。その遅すぎる口調、通常でも早くできるように練習してくれよまじで。」
「むーりーでーす。」
「はぁ、まあそれよりもお前なんでここに来たんだ?今は依頼もないし、それにまだ授業中だろ。」
「さーぼーり。」
「うなっお前何してんだ。はぁもういい好きにしろ。」
呆れ顔になりながらも結局は許してしまう幸沢は甘い男のようだ。
二人が話しているとカランコロンと店の扉が音がした。幸沢がすぐさま喫茶店の方に戻ろうとするがバンと勢いよく二人が入って行った扉が開かれると仮面を一人の少年が入ってきた。
「師匠、、、、いた。」
そう言った仮面の少年は横にいる幸沢を投げ飛ばして鈍間に抱きついた。
「ゆーき、かーめーんーが、いーたーい。」
「あ、、、、、ごめんなさい」
鈍間が痛みを訴えるや否やすぐさま仮面をとるとそこにはシュンとした表情の目が蒼の女の子がいた。仮面をかぶっていた時は髪が短いので少年かと思ったが実は少女だったのだ。
「師匠、、、いい匂い」
今にだらしない顔で鈍間に顔を埋めている少女に幸沢が言った。
「傀儡よ!なんで私をなげるんだ。しかも一応ボスの私より先に人形師に挨拶なんて、ひどいぜ。」
「、、、ボス?、、、、いたんだ。」
「今、気づいただと!」
首を傾げる”蒼眼の傀儡”、真白ゆきの反応にさらにショックを受ける幸沢だった。
「傀儡、いつも言ってると思うがこの部屋に入るにはいつも合言葉を言えって言ってるだろう。」
「、、、、、忘れた。」
「!はぁ、言うのは最後だからな。喫茶店で何か頼んだ後に最後に味噌ラーメンを頼む、これが合言葉だからなもう忘れるなよ。」
「、、、、、了解。」
「はぁ。」
わかったのか分からなかったのか分からないゆきの会話の間に疲れたようにため息をついた。そしてまたゆきに顔を向けると何してんだっという顔で
「おい、さっき人形師にも言ったがなぜここにいるんだ。まだ授業中だろ。」
「、、師匠がいる気がした。」
「なっ、お前Aクラスのトップだろ。大丈夫かよ。」
「、、、、大丈夫。、、、、、許可はとった。」
「マジかよ。はぁ、あの師匠にしてこの弟子ありってか。もういやぁ。人形師に傀儡、霊眼に緑眼。なんでこんなにもうちには変な奴が集まるんだ?」
今日1日で一生分疲れたみたいな顔をした幸沢はそういった。まあこれからもっと疲れることは間違いないのだが。
「ボースーが、あーつーめーるーかーら。」
「正論が心にグサッ、知ってるよ私が1番そんなこと知ってる。優秀な人が全員変人だから悪いんだよ。」
フンっといいながら喫茶店に戻っていく幸沢だった。
幸沢をボスとし優秀で変人が集まる探偵結社をEternal Pursuitと言う
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