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私は素直にそう言って頭を下げた。もうこりごりだ、やっぱり視えないフリが一番。そりゃ霊が全員悪い人だとは言わないけど、私は判断する能力なんてないんだから。
先生は木箱をポケットにしまい込んだ。
「これは俺がちゃんとした寺に持って対処してもらう」
「いいんですか?」
「絶対に椎名さんが持つべきじゃない」
「ありがとうございます、すみません」
「それと」
先生は今度、反対側のポケットに手を突っ込んだ。そしてスマホを取り出すと、私にいう。
「携帯出して」
「え?」
「連絡先、教えておく。
もし今後、霊がらみで困ったことがあれば話は聞く。なんとなく、君はこういうトラブルに巻き込まれやすい雰囲気を感じる。引き寄せやすいと言われたことは?」
「別にないですけど。というか、この能力が分かる人に出会えたことなかったし」
「そう。今回の件で懲りたなら、とにかく今後はまた無視を徹底して、俺が言ったことを守れ。それでも何か気になることがあれば聞く。スマホ出して」
私は慌てて鞄から取り出す。ロックを解除しようとして、少し指が震えていることに気が付いた。
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