藍沢響は笑わない

見てほしいもの

　夜は更け、そう諦めてベッドに入った時だった、私のスマホが鳴り響いた。

　慌てて手に取り開いてみると、先生からだった。変な声を発しながら、震える手で内容を確認すると、短い返事……ではなかった。

　私のメッセージの下あるのは、パンダだ。パンダのスタンプが、『OK』の文字をもって可愛らしく笑っている。

「……えっ、スタンプ？？」

　先生が？　あの藍沢先生が？　しかも、こんな可愛いデザインの？

　予想外すぎて爆笑してしまった。あまりにイメージと違いすぎる。あの顔でこのスタンプを探して購入したのだと思うと、笑わないなんて無理ではないか。

　やっぱり彼は、思っていた人と随分違う。

「さて……これは、どう判断すればいいのかな」

　一言でも返事が来たら諦めない、だった私の賭け。スタンプが返ってくるのは、完全に予想外のことだった。