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「ち、違います、スマホは見てませんでした! ただちょっと考え事をしていて。てゆうか先生はここで何を」
「あっち、駐車場」
「あ、ああ……」
スタッフ用の駐車場はいくつか点在しているが、結構病院から遠い場所にある。しばらく歩かないとたどり着かないのだ。先生の駐車場も少し向こうにあるらしい。
まさか考えていた相手と急に会うことになるなんて、予想外のことすぎて心の準備ができていない。私は一人モタモタと困っていると、それを気にせず彼は歩き出してしまう。慌ててそれを呼び止めた。
「せ、先生!」
ぴたりと足を止め、ゆっくり振り返る。やはり笑顔のないその顔をもう怖いと思うことはなかった。むしろ、少し心臓が速まっている。
「何」
「あの、聞いてましたよね、森さんの……」
一応周りに人がいないか見渡しながら小声で尋ねた。大丈夫、人はいない。先生もゆっくり周囲を見ながら答えた。
「ああ……それが考え事の内容?」
「あ、あの、あんな風にあの人が考えているなんて思わなくて」
「君はまだ入って間もなかったね。そりゃ驚くか」
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