悲しい最期

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 あの日、紅茶を飲みながら泣いていた奥さんの姿を思い出す。笑っていた健人くんの顔も。  これから二人で……どうしていくんだろう。  閉じ切っている病室からは、何も声が聞こえない。 「辛いね、奥さん、子供も小さいのに」  近くにいた歩美が、声をひそめて言う。私と同じことを考えていたようだ。小さく頷いた。 「子供預けて働いて、シングルで頑張っていくんだろうね」 「はあ……うちらが家に帰った後、家事や子供の世話が待ってるなんて想像したら、倒れるよね? 凄いよ、母は凄い」  確かに。私なんて、疲れたらコンビニでご飯買って、家ではゴロゴロしてるだけだもんな。小さな子がいたら、そんな当たり前のことすら出来ないのだ。  しかし、あの可愛らしい健人君の顔を思い浮かべる。 「でも……支えになるよねきっと。健人君、久保さんによく似てるし」 「そうだね。落ち込む暇もないだろうね」 「忙しいっていうのは、ある意味いいのかな。想像もつかないや」
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