悲しい最期

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 目を輝かせた。前回、恐ろしい相手に先生は見事やってくれた。今回もそうやってもらえばいいのか。  だが一瞬喜んだのち、久保さんをあんな風に消すのか、と戸惑った。そりゃ前回はこっちに危害が及びそうなほど粘着されていたからああなって当然だった。でも……。 『久保さんを無理やり消すのか、とかまた思ってるところ?』  ズバリあてられた。言葉に詰まる。電話の向こうで、先生の呆れたような声がした。 『君はお人よしだね本当に』 「だって、山中さんとは違うじゃないですか……」 『何が違う? 結局生きてる人間に執着してるに変わりない』 「そもそもなんで病院に帰ってきて自分が視える人間を探しているんでしょう? 久保さんは家族だっているというのに」 『さあ。自分の存在認めてもらいたい霊は大勢いる。家族には自分が視えなかったから、次の相手を探していただけじゃないか。  それとも……よほど未告知が悔しかったか、だな』
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