悲しい最期

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 そんなセリフを聞いてどきりとした。森さんが藍沢先生を怒鳴りつけている場面が蘇る。なぜ黙っていた、家族に告知すべきだと説得しなかったことを怒っていた。もし、久保さんもそんなふうに思っていたら?  痛む胸を押さえた。医療者に怒りや恨みを抱いているとして、これからどうするつもりなんだろう。 『俺だってむやみやたらに消したくはない。生前の姿を知っていればなおさらだ。彼の闘病生活ももちろん知ってる。  でもこのまま放置は一番よくない。霊は彷徨う時間が長ければ長いほど悪霊化する。無理やりでも消した方が本人のためになることも』 「……はい」 『来週の水曜日にしよう。問題はそれまで、君は久保さんに狙われたまま仕事をしなくてはいけないことだけど』 「そうだった!」 『そこはもう、頑張れ』 「急に雑!」 『無視し続けるしかないな。視えたとしても、力になれることはないんだって態度で教えるんだ』  出来るだろうか、と不安になる。だがやるしかない。まさか仕事を休むなんてことは出来ないし、これから先だってこういうことがあるかもしれない。逃げてばかりでは何も始まらない。私は決意を固めた。
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