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それからさらに二日の休みを挟んだので、私はやけに冷静になり落ち着いていた。
今度の夜勤では藍沢先生が来てくれる。それまで耐えればなんとかなるんだ、という希望が見えたので、自分でも驚くほど穏やかな気持ちで出勤した。
覚悟していたので、ステーション内に入った時、まだ残っていた久保さんが私を見て真顔からものすごい笑顔に変わったのも驚かずに済んだ。待ってました、と言わんばかりの笑みだった。
私は涼しい顔でそれをスルーし、普段通りの動きで仕事を始める。パソコンで本日の受け持ち患者のことを見て、点滴を準備する。
「看護師さーん」
背後から声が聞こえた。非常に冷静な自分は、それが先日聞いたあの声だということに気づくことができた。何も反応なく点滴の準備を行う。
何度か私を呼ぶ声が繰り返された後、ペタ、ペタという足音が聞こえてきた。それでも自分は手を止めることなく作業を続ける。
ぬっと、顔が横から入り込んでくる。見開かれた目の中に、自分の顔が映っていた。
『みえてるでしょ?』
「……」
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