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「あは。すみません、先生ですよね。今ちょっと変な……ものを見て」
『何を見た』
「話してる最中、先生が霊と関わるべきだって変なことを言いだして。そのあと、出口が少し開いて外から人が……」
説明している最中でも声が震えてしまう。自分の手を眺めた。鞄の中で誰かに掴まれた手だが、異変は特にない。何度か握って確かめる。
『……完全に付いてきてるってわけか。今まだ病院? 家まで送ってあげたいんだが、どうしても仕事がまだ抜け出せなくて』
そんなことを言われて、背筋をぎゅんっと伸ばしてしまった。送ってあげたいって言ってくれた! お言葉だけで私にとっては宝物だ。
「いえ! そのお言葉だけで空飛んで家に帰れそうです!」
『君は魔女だったんだな』
「なれそうってだけです!」
『いいか。俺が君に霊と関われなんて言うことは絶対にない。これから先も絶対にだ。関わってもろくな目に遭わないんだ、君の負担や苦しみが増えるだけだ』
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