不穏

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 ぼんやりとそんなことを思った。亡くなったご主人が病院にいますよ、なんて言えるわけはないが、あの二人がどうしているのか気になる。だが、個人情報を使って連絡を取るわけにもいかない。  そもそも、久保さんもあの二人が気にならないんだろうか。医療者に怒りがあったとしても、それより大きな感情として、家族のそばにいたいと思うのが普通じゃないんだろうか。  家族思いで子煩悩にみえたのになあ。 「次の夜勤まで、体調不良ってことで休むのが一番かな」  私はカレンダーを見て思う。うん、私があそこにいくと、またほかの被害者が出るかもしれない。先生が消してくれる日まで、久保さんの近くにはいかないのが一番ではないのか。そう考えていると、スマホが鳴り響いた。先生からのラインだ。 『無事着いたなら何より  明日日勤だね?   タイミングを見つけて消したい』  そんなメッセージが届いてぎょっとした。あれだけ人々が動き回る日勤で、消すなんて行為は無理だと先生も言っていたではないか。  するとすぐにもう一通、届いた。 『久保さんは君について回ってるなら、個室に呼び出すことが出来る  昼のカンファレンス時なら、何とかいけるかもしれない  賭けだけど』
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