1754人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼんやりとそんなことを思った。亡くなったご主人が病院にいますよ、なんて言えるわけはないが、あの二人がどうしているのか気になる。だが、個人情報を使って連絡を取るわけにもいかない。
そもそも、久保さんもあの二人が気にならないんだろうか。医療者に怒りがあったとしても、それより大きな感情として、家族のそばにいたいと思うのが普通じゃないんだろうか。
家族思いで子煩悩にみえたのになあ。
「次の夜勤まで、体調不良ってことで休むのが一番かな」
私はカレンダーを見て思う。うん、私があそこにいくと、またほかの被害者が出るかもしれない。先生が消してくれる日まで、久保さんの近くにはいかないのが一番ではないのか。そう考えていると、スマホが鳴り響いた。先生からのラインだ。
『無事着いたなら何より
明日日勤だね?
タイミングを見つけて消したい』
そんなメッセージが届いてぎょっとした。あれだけ人々が動き回る日勤で、消すなんて行為は無理だと先生も言っていたではないか。
するとすぐにもう一通、届いた。
『久保さんは君について回ってるなら、個室に呼び出すことが出来る
昼のカンファレンス時なら、何とかいけるかもしれない
賭けだけど』
最初のコメントを投稿しよう!