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泣きそうになったのを必死に抑え口角を持ち上げた。
「とんでもないです。久保さん、大丈夫ですか? 健人くんもいるし、大変だとは思いますが」
「そうですね……葬儀も終わって、でも家にいると色々考えてしまうんです。健人は話し相手、と呼ぶにはさすがにまだ小さくて。今日ここに来たのも、誰かと話して気を紛らわしたかったんですよね」
苦笑いした奥さんの目は、赤く充血していた。瞼もやや腫れぼったく、彼女がどれほど涙したかがうかがえる。
子育て中の人は他の人間と話す機会がぐっとなくなり、世界からの疎外感を感じるという。夫である久保さんを亡くしては、それがさらに強まることは容易に想像できる。確かに、家に籠っているよりこうして誰かと少しで話した方が気が紛れるかもしれない。
「でも健人がいるから頑張れます。イヤイヤも出てきて疲れちゃうけど、家が静かよりよっぽどいいって」
「そうですね。健人くんの笑顔に助けられますよね」
「どうしてもこう、もっとあの人に色々出来たんじゃないかなあ、って思っちゃうから。いや、看護師さんや先生には何の文句もないんですよ、これは私の問題。
夫が使ってたパソコンをね、見てみたんです。あの人ほら、病室にも持ち込んでいたでしょう」
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