不穏

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「ごめんなさい、忙しいのにこんな話聞かせちゃって」 「大丈夫ですよ」 「そうやって色々悩んでは夜もあまり眠れないです。でも、先生や看護師さんたちには本当に感謝してるんです。みなさんすごいなあ、って感心しっぱなしです。ありがとうございました」 「どうか、奥さんもお体には気を付けてください。健人くんがいるから。なかなかすぐには難しいと思うけど、少しでも食べて、寝てください」 「ええ、ええ。そうですね、私が倒れるわけにはいかないんです」  そう自分に言い聞かせるようにいう姿がまた辛い。自分を追い込んでいるように見える。本当に大丈夫なんだろうか、奥さん。 「すぐに熱を出すって言ってましたけど、でもやっぱり預けられるならたまには預けてもいいと思いますよ」 「そうですよね、私も仕事を探して働かなきゃいけないし、そうすると保育園に入れなきゃだから、少しでも慣れさせないと」 「い、いえそういう意味で言ったのではなく」 「頑張ります。健人を少しでも幸せにできるように、私が頑張らなきゃ」 「無理しすぎないでくださいね、手を抜けるところは抜いて」
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