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奥さんはなんて思うだろうか。亡くなった後はどうか安らかにいてほしい、と願う彼女が、あなたのこんな姿をみてどう感じる? 健人くんに今の姿を見せられるのだろうか。
この人は死と共に、一番大事なものを見失ってしまったの?
「一体あなた何をしてるんですか」
ついに、声をかけた。震えた小声だった。これは恐ろしさに震えたわけではなく、怒りによるものだった。
霊に関わればろくなことにならない。それを身をもって経験したばかりだが、黙っていられなかった。このままここに居続ければ、先生に消されてしまうのに。
そんな最期のために今まで生きてきたわけじゃないだろうに。
私はしっかり久保さんの目を見た。そらすこともせず、彼の存在を認識していると示すように見つめる。私はあなたがみえていますよ、その上で話しかけたんです。これほどしっかり目が合ったのは初めてのこと。
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