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「健人、起きた? お茶飲もうか」
母の顔になった彼女に微笑ましく思っていると、健人くんは奥さんを見ていないことに気が付いた。そして彼はじっと高いところを見つめながら、確かに言った。
「パッパ」
そう呼ばれた久保さんは、触れることが出来ない健人くんの頭をそっと撫でた。親子三人の姿を目に焼き付け、私は何も言わずに玄関の扉を開けた。
最後扉が閉まっていくとき、幸せそうに寄り添う久保さんたちの姿は、眩しいほどに輝いていた。
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