あなたの笑顔

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「たまたま知っただけだ。自殺しようとした人の心のケアが必要だと思ったから、話をよく聞いてみた。そしたら引っ掛かるところがあったんで、もう一人の窒息の患者にも聞きに言ってみたというわけ。あれがなくては、俺は何も聞かずに強制的に消してたよ」 「消す前に判明してよかったです……。久保さんは誰かを傷つけるどころか、助けてくれてたんですもんね。本当に優しい人です」 「同感だ」 「今回手紙を作成して奥さんに手渡すこと……先生も賛成するとは思わなかったです」  あれだけ霊に関わるな、と言っていた先生が、今回ばかりは折れた。久保さんの話を聞いてみよう、と思ったのだ。彼はバツが悪そうに言った。 「電話で俺が霊と関われということは絶対にないと断言しておきながらこんなことにな。  彼が人を助けた、という事実は、どうしても衝撃だった」 「まあ、そうですよね……」 「窒息の人もそうだけど、特に自殺しようとした人を助けたのは」 「え?」 「考えても見ろ。彼は自分は生きたくても生きれなかった人間だ。自ら命を断とうとする人間なんて、むしろ怒りを覚える相手じゃないか」
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