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病棟の人間とはほとんど雑談もしない先生が、なぜそんな詳細を知っているんだろう? 職場の人間なんて、必要最低限しか会話しないし、何より先生は女が苦手じゃないか。
先生は即答した。
「付き合ってた」
「…………え」
私は言葉を失った。予想外のことで、脳が混乱している。
先生が、付き合っていた??
私の驚きに気づいたようで、彼は説明を追加した。
「俺の女嫌いは、結構最近のことだから」
「そう、なん、ですか……」
「もう四年前のことか。彼女とは学生の頃から付き合いがあって、同い年だった。向こうは一足先に社会人になって、俺は追いかける形。当時研修医だった自分は慣れない毎日に必死だったわけだけど」
「そんな、お相手が……」
学生時代から続いた恋愛。先生にそんな相手がいるなんて想像もしていなかった。いや、ビジュアルを考えれば別に彼女の十人や二十人いたっておかしくないわけだが、あれだけ不愛想で女が嫌いとなれば、彼女なんて存在作らないのではと思っていたのだ。
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