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そりゃそうだ、あれだけ女性が苦手で反射的に変な声まで出しちゃうぐらいなのに、すぐに治ったりするわけないか。それはちょっと安心した。だって、先生が女性恐怖症を克服しちゃったら、きっとさらにモテてライバルが増えるだけだ。知らぬ間に彼女なんて作られた日には立ち直れない。
……って、待てよ?
「あ、ああっ!!」
「うわ、なにどうした」
「わた、私としたことが、先生のこと知ってたのに、さっき引っ張って家にまで上がらせて!! ごごごめんなさい、家に上がるとき先生困ってたのに! だいじょうぶですか? 私のマグカップとか使わせて今吐きそうですか!?」
慌てて謝罪した。女性が苦手ってこと、すっかり頭から抜け落ちていた。強引になんてことをしてしまったんだ。
先生は焦る私をきょとん、と見た。が、しかし。
次の瞬間、彼は大きく噴き出して笑ったのだ。
目を線にして、口を開けて大声で笑った。お腹を抱えるようにしている。突然彼のそんな姿をみて、私は完全に石と化した。
――笑った。先生が。
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