笑わない男

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 だから、いつか同じ力の人と出会えたらとても嬉しいんだろうなあ、と思いながら、私は大人になってしまう。ちなみに、テレビに出ていた霊能者は『あそこにいるのは自殺したOLでうんたらかんたら』と分かったような口をきいていたけど、完全に偽物だ。私にはわかる。  さて、大人になった自分はどうしてもなりたい職業があった。小さなころからの夢で、叶えたいと思っていた。だが、両親はいい顔をしなかった。その職業自体にではない、職場に不安を抱いていたのだ。  正直なところ私も不安でしょうがなかった。でも、夢を捨てるなんて嫌だ。こんな変な力のために、なりたかった職業になれないなんて。なぜ私が逃げなくてはならないんだ、と奮い立ち、私は決心し進学した。  看護専門学校。国家試験をクリアし、私は看護師になったのだ。  一般的に霊が多くいそうな場所、と言えば浮かんでくる病院。それがあながち間違っていないのだから笑える。確かに、大きな病院には多くの霊たちが存在している。実習にいっているときも、それはそれは色んな者たちを見つけてしまった。でも、耐えた。私は必死に耐え、夢を手に入れた。
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