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「だから飲み会とかも来ないんですね」
「まあ、それと単純にそういう場に楽しさを見いだせないだけ」
「あ、それはイメージ通りの答え」
先生はふう、と息を吐いて、ハンドルに持たれながら言った。
「別にそれがバレてもいいんだけどさ、女除けになるかもしれないし。でも、患者の耳にまで伝わると不安を煽ることになる。仕事上、なるべく伏せておきたい」
なるほど、と納得した。確かに、『あの先生女が駄目なんだって』なんて噂、よくないだろう。患者は命を医師に預けているのだ。
確かにこれまで見てきたことを思い出すと、先生は女性の患者さんの処置も滞りなくするし、業務上は本当に差し支えないらしい。プライベートの、特に目をギラギラさせたハイエナ女子が苦手なんだろうな。
私は納得して頷いた。
「分かりました。大丈夫です、誰にも言いませんから」
「それは助かるけど」
「バレてないと思いますよ。まあ、女嫌い、っていうか、人間嫌いかなーってのは思ってましたけどねー。平気ですよ、これまで通りやってれば」
私があっけらかんとして言うと、先生は不思議そうに言った。
「聞かないんだ?」
「え?」
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