突然の別れ

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 昨日会うのが最後だったなんて……もっと話せばよかった。いつも私を褒めて労わってくれたのに。  目の奥が熱くなるのをこらえ、気を引き締めた。同時に、夜勤で働いていた先輩がナースステーションに足早に入ってきた。 「あ! おはよ! ねえごめんだけど、配膳してくれない? 全然手が回ってなくて」 「はい、今行きます!」 「よかったー。あ、椎名さん、今日山中さん受け持ちだったよね? 出棺お願いするだろうから、よろしくね」 「はい分かりました」  再び慌ただしく飛び出していく先輩の背を追うように、私と歩美は駆けだした。とりあえず、患者は一人ではない。ほかの患者もいるのだ。その人たちに、泣きそうな顔を見られるわけにはいかない。  ステーションを出る寸前、近くに置いてあったマスクを一枚取り出して装着した。ただの一般人ではなく医療者なんだ、そう自分に言い聞かせて。  話によると、夜中三時の巡視の際、担当看護師がベッド上で心停止しているのを発見した。
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