突然の別れ

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 無駄に先生に話しかけようとするし、連絡先を聞こうとしてる様子も見たことがある。もちろんあっさり断られているのだが、メンタルが強いらしく何度もチャレンジしている。多分、藍沢先生、ああいう感じの人が特に苦手なんじゃないかなあ……。  歩いて近づいていくと、どうやら今度ある飲み会に参加しないか、と誘っているようだった。廊下でよくそんな誘いをするなあと感心する。 「でも、先生一度も来てないですよねえ? 一回くらい行きましょうよ~!」 「いや、俺はいいんで」 「なんでですかあ? みんな待ってますよ? 先生が来るってなったら、みんな喜びますよお!」 「特に行きたくもないので」  あからさまに嫌そうに返事をしているが、宇佐美さんはへこたれない。むしろ、徐々に先生に距離を詰めているように見えた。そして、そのたび先生は眉をひそめて下がっている。あらら、今までは特に気にしてみていなかったけど、あれだけ女が苦手だという先生がしょっちゅうこんなふうに絡まれてるの、可哀そうになってきた。だって、女が触れそうになったら『ひょっ』って言うぐらいだよ? 『ひょっ』って!
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