突然の別れ

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 二週間がたった。  相変わらず忙しい日々を送りつつ、休みなども挟み、勤務をこなしている。  今日は夜勤だったので、たっぷり睡眠をとった後、夜から病院へ向かった。途中コンビニで、夜食になりそうなものも購入した。絶対に店員に顔を覚えられている自信がある。  更衣室で着替えを済ませ、病棟へと上がる。夜勤の日はどうしても憂鬱になるので、少しため息を漏らしながらナースステーションに向かった。みんな出払っているのか、中にいたのは藍沢先生だけだった。パソコンの前に座り込み、何やら考え込んでいる。  宇佐美さんから助けたあとも、当然ながら先生とは何も変わりなく過ごしている。業務事項以外会話はなし。目が合うことだってない。私は小声で挨拶だけして、一旦荷物をロッカーにしまった。さて、夜勤の準備を始めようと意気込んだとき、一つ気になることがあり、そうっと廊下を覗き込んだ。  長く続く廊下には、今は誰もいなかった。看護師が置きっぱなしにしたであろうワゴンが一つ、寂し気に置いてあるだけ。だが廊下の真ん中あたりで、彼がぽつんと立ち尽くしていた。
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