突然の別れ

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 俯いて表情が上手く見えない。だらりと両腕を下ろし、それがわずかに揺れていた。  その姿を確認した瞬間、すぐに顔をひっこめる。両手で顔を覆い、目を閉じた。  山中さんが、まだいる。  そう、彼はあの後もずっと病棟に存在している。出勤するたび確認しているが、山中さんは消えることなく廊下に立っていた。これほど長く存在し続ける人は初めてだった。みんないつの間にかいなくなっているのに、どうしてこんなに?  今日こそはいなくなってるかも、今日こそは、今日こそは、と繰り返し、結局何も変わらず時間だけが過ぎている。  一体なぜ、彼はここに留まっているのだろう。しかも……  徐々に、ナースステーションに近づいてきているような。  初めて見たのは、廊下の一番端だった。寒気を感じて振り返ってしまったとき。だが今日は廊下の真ん中あたりに立っている。彼は確実に、こちらに向かってきている。  戸惑いで視線を揺らした。なるべく見ないようにして働いているが、すれ違ったりするとき、どうも視線を感じる気がする。視えることがバレてしまって、私に何かを訴えかけたいんだろうか。
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