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視えてることが伝わったから、何か伝えたいのだろうか。だからまだここに残っている? どうしよう、私のせいで留まっているとしたらどうすればいいんだろう。
ぐるぐると考えを巡らせながらステーションに戻った途端、再度ナースコールが鳴り響いた。びくんと体が跳ねる。
ランプはまた、あの部屋に付いている。
聞きなれた音が酷く不愉快に思えた。心臓が煽っている。すぐに音を消す。
無視するのは簡単だけど、もしかして本当に患者さんが呼んでたら。寝ているように見えたけど、何かあるのかもしれない。
強く拳を握って再度部屋に向かう。山中さんはやはり私の方を見て指さしていた。がくがく震える足で病室に入るけど、やはり彼女は穏やかに眠っていた。
部屋を出て静かに目を閉じる。こうなれば、原因は一つしかない。
「……あなたなの?」
ぽつんと声を漏らした。
これしか考えられない。彼が私を呼んでいる。何か伝えたいことがあるんじゃないのか。
私は山中さんの前に立つ。怖さで視線は下に落としていた。彼の水色のズボンを見ながら、小声で続けた。
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