突然の別れ

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 低い声でそう言った。山中さんはじっとこちらを見ていた。  そのまま沈黙が流れる。私はされるがまま立ち尽くしていた。どれほど時間が経ったのか、しばらくして先生がようやく私の口から手を離した。そして、そのまま後ずさるように二人で下がる。  山中さんはその様子をじっと見ていた。消えることはなかった。ただ、私たち二人の様子を眺めながら、どこか悲し気な目をしたのがあまりに印象的で。恐怖心より、言いようのない胸の痛みを覚えてしまった。
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