突然の別れ

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「だがまあ、今は絶好のチャンスだとも言える。もう少ししたらほかの看護師の休憩が終わるだろう? その前にちゃっちゃとやってしまうこともできる」 「え、それって……山中さんを除霊するってことですか?」 「あまりたいそうな言い方はしないでもらいたい。失敗することも多々ある」  言われて、ぐっと押し黙った。山中さんを消す? そりゃ、あそこにいるのは正直困る。患者のナースコールを使って呼ばれるなんて業務に支障も出る。できれば今、絶好のチャンスを使って、先生に祓ってもらった方がいいに決まってる。  でも。どうしても、頭から消えない。  それは恐ろしい形相で私を見ていた顔ではなく、生前優しく笑っていた山中さん、そしてさっき去り際、悲しそうにしていた顔だ。あんな顔をする彼を、このまま追い払っていいんだろうか。 「今しかチャンスはないな。成功するかは分からないが、やってみる価値はある」  立ち上がろうとした先生に、私は慌てて声を掛けた。 「待ってください!」 「……何」
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