見てほしいもの

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 あ、と小さな声が漏れた。殆ど二人きりになるなんて不可能な仕事中、こんなタイミングは滅多にない。神様の導きかもしれないとすら思った。  だが、すぐに思いなおす。だから、先生にこのメモの相談は無理だって。怒られるだろうし、きっと考えてくれないよ。何も言わない方がいいに決まってる。  そう思い、足元に視線を落とした。すれ違う時、軽く会釈だけしておく。そのまま何も言わず足を動かしていると、背後から声がした。 「何を思い悩んでんの」  はっとして振り返った。先生が下から私を見上げている。長めの前髪から、真剣な目が見えた。 「え、あ、えっと」 「君顔に出やすいよ」 「あ、す、すみません」  まさかそんなに顔に出てた? 自分の頬を触ってみる。弱ったな、看護師は顔に出やすいと色々困る職種だというのに。  先生はふうと息を吐いて言う。 「一昨日、なんかあった?」 「え!?」 「あの人、一時廊下にいなかったから。しばらくしたらまた戻ってきてそれからずっといるけど」 「あ、じ、実は家に来たんです!」 「え?」
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