見てほしいもの

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 もちろん向かった先は自分が着替えるロッカールームではなく、先生に言われた部屋だった。  ノックして入ってみると、普段私が使っているロッカー室と造りは全く一緒だ。広くない部屋の中には、畳の上に所狭しと並べられたロッカーたち。全体的にやや古く、設置してあるエアコンも、一体何年製だと問いたい形をしている。どうしてこの部屋は使ってないんだろう、単純に最近看護師が少なかったとかかな。  そう思いながら見渡すも、先生はまだ来ていないようだった。仕事が長引いているのだろうか。私は靴を脱いで畳の上に上がる。  部屋の中央で荷物を置き、正座をしてしゃがみ込んだ。そしてゆっくり、ポケットから箱を取り出す。  手のひらに収まるほどの大きさだ。やや長方形の形、厚みはそこまでなく、一、二センチほどか。結構薄い。重さもほとんど感じない、軽いものだ。いろんな角度から眺めてみる。白い包装紙に丁寧に包まれていた。  入り口を見てみるが、先生がまだ来る様子はない。先に見させてもらうことにしよう。
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